日本統治時代、台湾で使われる煉瓦の過半数を製造していたといわれる「台湾煉瓦株式會社」。その主力であった台湾煉瓦株式會社打狗工場の跡地が、現在市民公園「中都唐榮磚窯廠」として一部開放されています。
台湾煉瓦株式會社とは
台湾総督府の文書課課長だった鮫島盛が、1899年高雄市内に鮫島煉瓦工場を創設しました。その鮫島が1902年に死去した後、協力していた後宮信太郎がその後を引き継ぎ、新たに1913年台湾煉瓦株式會社を設立。打狗工場は、台湾煉瓦株式會社の主力工場として、台湾各地に設立していたレンガ工場を統合。新たに高性能ホフマン窯六基が新たに導入されて、生産能力を拡充していきます。
1946年に台湾省行政長官公署工礦に組み込まれた後、1947年に工礦公司高雄磚廠と改称。1957年には唐榮鉄工場が工場を買収、唐榮鉄工廠高雄磚廠(中都唐榮磚窯廠)として生産を続けます。1970年に唐榮耐火材料廠となった後、1984年ステンレス工場と合併、1999年に操業を停止。2005年に国定古跡に指定されました。
中都唐榮磚窯廠の行き方
中都唐榮磚窯廠の最寄り駅は、台鐵鼓山站。まず駅から愛河へ向かって歩いて中都橋を渡ると、広い荒地というか空間にポツンと建つ煉瓦造りの建物が見えてきました。これが台湾煉瓦株式會社の事務所だった建物です。また「中都磚窯廠」というバス停が近くにあり、台鐵高雄站や新左営站、金獅湖から便があります。(2020年8月現在)
中都唐榮磚窯廠の敷地内を見学
背の高い煙突の下に広がる中都唐榮磚窯廠。訪れた時は、修復工事の真っ最中でした。ダメ元で交渉してみるとOKが出たので、敷地内を見学してゆきます。
台湾煉瓦株式會社打狗工場事務所
そばの説明板によると、この建物は「台湾煉瓦株式會社打狗工場事務所」として1913年に建てらたそうです。
窯場教園
トンネル窯(隧道窯)
屋根に覆われたトンネル窯(隧道窯)の長さは約80メートルあります。そばには、中都唐榮磚窯廠の歴史を伝えるパネル展示もありました。
ホフマン式窯(八掛窯)
独特な形状のホフマン式窯(八掛窯)は、この時見学することができませんでした。いつかその全容を確かめることができる日が来た際には、是非再訪したいと思います。
中都唐榮磚窯廠からの帰り道
日本統治時代から戦後・現在に至るまで数多くの公共施設や住宅等で用いられてきた煉瓦。台湾の発展の一助を担ってきたことは間違いないと思います。産業遺産は、技術者の英智と実際に作業に携わられた人々の努力の証だな…と思いながらホテルへと戻りました。もし、皆さんの中で訪れた方がいらっしゃいましたら、是非現在の状況をお教え下さいね。
中都唐榮磚窯廠の基本情報
中都唐榮磚窯廠
住所:高雄市三民区中華橫路220號